ライカS レビュー 迫力と臨場感に満ちた中判デジタルカメラ LEICA S

ここ最近、中判デジタルカメラの購入に向けて情報を収集し、検討を重ねてきましたが、コストパフォーマンスが良いことと、同カテゴリのカメラの中で最も小型軽量である点が気に入ったのでライカS(Typ006)に決定しました。また、一本目のレンズについてはとりあえず万能である標準画角のズマリットS 70mm f/2.5 ASPH. CSを選択(※35mm判換算:56mmで1/1000秒までストロボと同調できるセントラルシャッター付きの方です)。この週末に早速撮影してきましたので、このエントリーではそのレビューを語ってみたいと思います。

ライカSのボディサイズ

ライカSシステムの優れた点はいくつもありますが、特筆すべきはコンパクトボディゆえのハンドリングの軽快さではないでしょうか。約160x120x80mmのボディサイズはまさに35mm判の中級一眼レフカメラ並で、本当に取り回しが良いです。これまでキヤノンの5D Mark IIや1D Xで培ってきた感覚がそのまま活きるので、何の違和感もなく扱うことができました。重量はズマリットS 70mm f/2.5 ASPH. CS装着時で合計2.15kg(ボディ:1260g、レンズ:890g)とヘビー級なため運搬時は重いですが、グリップとサムレストの形状が絶妙なためホールドしやすく、撮影中にストレスを感じることはありません。

ライカSのデザイン

とても立派なデザインで所有欲を十二分に満たしてくれます。オーソドックスな一眼レフカメラのフォルムでありながら、大胆でシンプルな面構成と繊細に造りこんだディテールのバランスが絶妙でモダンな佇まい。質感も実に素晴らしく、掌によく馴染むのでホールド性も上々です。ちなみにこの美しいデザインはライカR8、R9も手掛けたインダストリアルデザイナーのマンフレッド・マインツァー氏によるものです。

ライカSのファインダー

大きく、スッキリとクリアで、実に気持ち良いファインダーです。特にズマリット70mm f/2.5 CSとの組み合わせの場合、ファインダー倍率が35mm判換算でほぼ等倍になるので、縦位置に構えて両目を開けると、まるで肉眼で見ている光景をそのまま切り取るようなフィーリングで撮影することができます。ピントピークも掴みやすいのでマニュアルフォーカスも実にやりやすい。本当に見心地の良いファインダーです。ただ、ファインダー視野率が98%でライブビューもできないので、混みいった背景を神経質にフレーミングするような撮影は苦手です。ちなみに、デフォルトのユニバーサルスクリーンだと水平・垂直が目視でパッと取れないのでグリッドスクリーンに交換しました。

ライカSの操作性

ライカSの操作系は背面ディスプレイの両脇にある4つのボタンとジョイスティック、クリックホイールのみと極めてシンプルな構成ですが、短押しと長押しを駆使することによって合理的かつ迅速な設定変更が可能です。上手く扱うには少々慣れが必要ですが、ひとたび慣れてしまえば少ない手数で目的の設定を完了させることができます。私の場合、購入時にプロストアの方がツボをおさえた操作テクニックを色々と教えてくれたので、すぐに使い熟すことができました。

ライカSの液晶モニター

ライカM(Typ240)と同じ3インチ 92万ドットで、カバーガラスには丈夫で傷のつきにくいコーニング社のゴリラガラスが採用されています。最近のカメラと比べると画素数は少ないですが、92万ドットでも十分に美しく、ピントチェックも問題はありません。一点難を言えば、色が少し青い気がします。

ライカSのAF・AE・WB性能

AFの測距エリアは中央一点のみなので、周辺の被写体にフォーカスする場合はAFロックが基本です。ターゲットが近距離の場合はピント面の管理にある程度のスキルが要求されます。暗さには弱いので一旦迷い始めるとなかなか合焦しませんが、合焦した時の精度については申し分ないです。合焦スピードはキヤノンのEF85mm F1.2L IIと同程度で、白レンズのような爆速AFとは比較するまでもなく遅いです。コンティニュアスAFもついていますが、あまり追従性は良くないです。プロストアの方が前後の動きに強いと言っていたのでブランコに乗っている娘を追ってみましたが全然ダメでした。

AEについては一般的なデジタル一眼レフと同様にP、Av、Tvと3つのモードが使えます。SSダイヤルと絞りの電子ダイヤルの組み合わせで合理的なモード切り替えが可能です。測光モードは多分割、中央重点、スポットから選べます。WBは一通りのシーンが揃っており、当然ケルビン値での設定も可能です。光量が十分な環境であれば、Avモード&AWBで気楽に撮影しても高水準の結果が得られます。

ライカSのマニュアル操作感

サムレストのすぐ近くにある電子ダイヤルと天面にあるシャッタースピードダイヤルを用いた露出のマニュアル操作は快適です。ISO感度設定は専用ボタンのある一般的なデジタル一眼レフと違って背面ボタンの長押しで呼び出すので少し手間がかかりますが、ISO感度を頻繁に上げたり下げたりするような撮影はしないので苦ではありません。フォーカシングについては前述の通りファインダーが素晴らしいのでやりやすいですが、ピントリングの感触はMレンズ比で官能性に欠けています。ちなみに、マニュアルフォーカス時でもジョイスティック押下で親指AFが可能です。

ライカSのシャッター

シャッターはセンサーサイズなりにミラーが大きいのでバシャンと大仰な音がします。これはFPS(フォーカルプレーンシャッター)でもCS(セントラルシャッター)でも同じで、ミラーが動くことに変わりはないので、しっかりホールドしないとブレます。また、ボタンの感触は半押し・全押しのクリック感が曖昧で、全押しのストロークも長いのでやや緩慢な印象です。少し前まで使っていたデジタル一眼レフがCanonの1DXだったので、そのキレ味と比べてしまうと物足りません。動体撮影が得意な高速レスポンスのカメラと比較されても困るとは思うのですが、それにしても1ショットの切れ味はもっと追求して欲しいですね。ちなみに、CSに設定している時でも、シャッタースピードが1/1000秒より速い場合や、そもそもレンズがCS対応でない場合などは自動的にFPSが働きます。この辺はフールプルーフです。

ライカSの描写性能

ライカS(Typ006)には、6μmの画素ピッチ12EVのダイナミックレンジ16bitの色深度を持つ、45x30mm 3750万画素CCDセンサーが搭載されており、色彩豊かで実在感に溢れた写真を撮影することができます。ライカM Typ240(35mmフルサイズの高画素CMOSセンサー)でも十分に美しい写真は撮影できますが、微細な光の表情を捉える能力はライカSの方が上で、写真全体で見たときの迫力や臨場感に差があります。さらに、レタッチ耐性も非常に高いですね。ファイルには豊富なデータ量があるので補正を許容する懐が深いです。実にタフで打たれ強いDNGファイルを生成してくれます。

という感じで、初めて中判デジタルカメラを本格的に使ってみましたが、私、このカメラを大層気に入りました。今後の撮影が楽しみです。

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